体験談(約 59 分で読了)
【評価が高め】わたしの初めてを奪ったなんてお父さんに知れたら殺されちゃうぞ・・・・・。はい。海に沈められそうです。(4/5ページ目)
投稿:2021-09-16 07:50:14
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こんな田舎町にそんな大型ベンツなんて滅多にありませんので一瞬でソレと分かりました。
すると建物の角に停まったそのベンツの助手席に若い女性が乗り込んで行きます。
えっ?後藤田・・・・さん?
その女性とはまさしくあの後藤田さんでした。もちろん普段着でしたがその背格好からバッチリ分かります。
でも・・・・なんでベンツなんかに?しかも、あの会長のベンツ・・・・・
「あっ・・・・そういえばあの会長のボディーガード・・・・。」
「どうしたの?何かあった?」
事情の知らないマコトが私の隣で不思議そうな顔をしています。
「ううん・・・・ちょっと。あの担当の看護婦さんが見えたもんで・・・・」
私はそう誤魔化しながら考えていました。あのベンツ・・・・その後藤田という名字・・・・もしかして・・・・。
そうです。あの後藤田さんとあの会長付き運転手は同じ名字です。ということは親娘なんでしょうか?。
でも、なんでその会長のベンツで病院に迎えに来たのかは分かりませんが・・・。
そんな疑問が晴れない中、母さんたちの待つ談話室に到着しました。
「初めまして・・・。わたしはマドカの母親です。」
私の母さんが座っていたソファーから立ち上がると初対面のアキラにそう挨拶しました。
「それで、これが父親・・・・まっ、義理だけどね。それと・・・・・」
すると窓にへばり付くようにして外を眺めていたのどかがパタパタと走って来ます。
「のどかでしゅ!」
そしてその2歳児は大きな声でそう自己紹介しました。
「ちょっと・・・かわいい。えっ?この娘って?」
その時車椅子のアキラが驚いた顔をしています。
「あっ、ごめんね。この娘はマドカの妹なの・・・・。歳は離れてるけど。」
そう言いながら母さんがのどかを抱き抱えました。
「初めまして・・・マコトの姉の工藤晶です。マコトと違ってこんな地味なオンナですけどよろしくお願いします。」
アキラは何処となく恥ずかしそうに自己紹介しました。
「そんな・・・地味だなんて。でも・・・マコトさんってちょっと派手目よね。さすがガイドさんって感じ。でも、お姉さんも決して地味じゃないよ・・・・・。でも、お姉さんの方は髪・・・・真っ直ぐなんだね。」
「はい。わたしは母親に似て真っ直ぐなんですが・・・・・マコトのほうは父親の遺伝で癖っ毛なんです。」
「あっ・・・・それってパーマじゃないんだ・・・でも、ちょうどいいくらいのナチュラルパーマね。」
「お母さん・・・・それって天パってことです!それで中学校の時教育指導の先生に目・・・付けられて・・・・。お姉ちゃんが学校に来て説明してくれても、血の繋がった姉がコレですから・・・・なかなか天然っていうのが信じてもらえなくって苦労しました。」
「それじゃ・・・・まーくんと同じだ。」
「えっ?エンちゃんも・・・・癖っ毛?」
「うん・・・・。今じゃ髪短くして分かんないけど・・・・・」
「ウチもみんな髪真っ直ぐなんだけど・・・・この子だけおばあちゃんの血を引いで癖っ毛なんだよね・・・・」
この時私はどんな反応をして良いのか分かりませんでした。もしかして、私とマコトが結婚して生まれた子供の髪がものすごいことになってしまったら・・・・・そんなことはそうなってからでしか分かりません。
そんな時、母さんがアキラとマコトの顔を交互に見ながら何かを思い出したかのように首を傾げています。
「あれ?そういえば・・・・・マコトさんって確か早坂だったよね?お姉さんは工藤?・・・ん?」
「お母さん・・・。わたしってそんな派手ですか?癖っ毛でちょっと茶髪ですけど・・・・。」
そう言われたマコトは、今尋ねられたことではなく一つ前の話題の疑問を持ち出し自分の髪の色を確かめてながらさらに話を続けます。
「わたしはお母さんの再婚で早坂の籍に入りましたが、お姉ちゃんはそのまま旧籍に残りました。」
「ふ〜ん、そうなんだ。マドカど一緒だね。風谷っていう名字もマドカとマドカのお姉ちゃんだけになっちゃって・・・。マコトさん。風谷の名字いっぱい増やしてね。」
そんな会話の途中、母さんがマコトに向かって満面の笑顔で突然そんな事を伝えました。
「イヤダ〜お母さん・・・ちょっと早すぎます!まだ挨拶も済んでないのに・・・・」
当然そんな事を言われたマコトが柄にもなく動揺しています。まっ、当然といえば当然ですが・・・・
その後その談話室で、今までどこかへ姿を潜めていた織田も含めて楽しいひと時を過ごしました。この時分かったのは、私がこれから退院するということと、しばらく心療内科に通院すること。また、アキラは火曜日まで検査入院して、その後については検査結果によるものということでした。
そのアキラは、会社に結婚どころか妊娠していることも報告していませんでした。そのことから織田の存在が面倒くさい事に事になるので談話室に追い出していたようです。
その後マコトはアキラと一緒に病室に戻り、私は当直明けの心療内科医に概ねの説明を受けました。その後、母さんが退院の手続きをしている最中、私がお世話になったナースステーションを覗いてその人数を確認していました。これは、後日持参するシュークリームの数を確認するためです。
「あっ、風谷さん・・・・?もしかして千鶴・・・・・探してた?」
数を8まで数えたところで、後ろから急に声をかけられました。
「えっ・・・・千鶴・・・って?」
「あっ・・・わたしはこだまって言います。千鶴・・・いや、風谷さんの担当だった後藤田の同期です。」
ん?こだま・・・・?この顔立ち・・・その体格・・・どこかで見た感じの雰囲気です。そしてペンとか色んなものが刺さっている胸ポケットの名札には小玉と記されていました。
「あの・・・・こだまさんって名字だったんですね。もしかして小玉さんのお姉さんってバスガイドだったりします?」
「えっ、なんで知ってるの?」
「だって・・・その・・・お姉さんにそっくりです。」
「えっ、お姉ちゃんの知り合い?」
「それは・・・・前に入院した時、ちょっとお見舞いに来てもらったことがあって・・・。」
「えっ・・・・それって、あなただったの?前にそんな話聞いてて・・・・お姉ちゃん、あの時貸したパジャマ・・・未だに宝物のようにしてるんだよ。」
「宝物って・・・・」
「お姉ちゃん凄く後悔してた・・・・。その時、なんか彼女と揉めてた男の人を無理にでもぶん盗っちゃえば良かったって・・・・。だって未だにカレシ出来ないんだもん。」
「すいません。事情はよく分かりませんが・・・・謝ります。」
「ううん・・・そんなことはどうでも良いの。もしかして・・・・風谷さんって、千鶴・・・・狙ってる?」
「い・・・いや・・・。そりゃ、魅力的だな・・・っては思いますけど。」
「忠告してあげる。」
「忠告・・・・というと?」
「うん。千鶴に近づくオトコはみんな消されちゃうの。」
「消されるって・・・?そんな物騒な・・・。」
「どうやら千鶴のお父さんって凄腕のスナイパーらしくって・・・・」
「そんなスナイパーって・・・・ゴルゴじゃあるまいし・・・えっ?」
私はその時思い出しました。銭湯で出会った会長という人が呼んでいた後藤田という人物。それはまさしく長編コミックでお馴染みのゴルゴそのものでした。
と、言う事は・・・やはりさっきのあのベンツの運転手は後藤田さんの父親という事になります。・・・なぜか私の背中に悪寒が走ります。
この時、早朝その後藤田さんが言い残した「お父さんに知れたら・・・・」のフレーズが頭の中をリフレインしていました。でも、あれは夢の中の出来事で私の妄想・・・・と言うことにしておきましょう。
でも・・・この時私は貧血を起こしたかのように頭がクラクラしていました。
「風谷さん?・・・風谷さん?どうかしました?」
「えっ?すいません。ちょっと考え事していて・・・」
「顔色悪いようですが・・・先生お呼びしますか?」
「だ・・・大丈夫です。そ、そのスナイパーって?」
「千鶴のお父さんって、昔・・・警視庁で要人警護やってたみたいで・・・・」
「エ・・・SP・・・ですか?」
「うん・・・。どういう訳か今ではコッチで大きな会社の重役の運転手やってるみたいなんだけど・・・・陰でスナイパーやってるって噂なの。」
「で・・・でもですよ・・・その近づいたオトコが消されちゃうって・・・」
「これ・・・同期からのハナシなんだけど、前の病院で優しく対応してくれたことで勘違いしちゃった若い患者さんがいて、退院した後千鶴に付き纏うようになっちゃって・・」
「それって・・・・ストーカー・・?」
「うん。そのとおり。それで困り果てた千鶴がお父さんに相談したんだって。」
「そうしたら?」
「次の日、その待ち伏せしていたオトコがベンツに押し込まれて連れ去られるのを見たって・・・。」
「それって・・・・拉致?」
「うん。それからそのオトコはピタッと姿を現さなくなったって。しかも、その後同じように別のオトコガ近付いたことがあったんだけど・・・・ある日を境にこれもまた・・・・」
「姿を消した・・・・と。」
「うん。」
「そ・・それって、消されたってこと?」
「うん。それでその時そのオトコが狙撃されたか、重り付けられて海に沈められたって噂になって・・・・。」
「でも・・・・あの姿見たら絶対スナイパーだって思っちゃうよね。」
「えっ、風谷さん・・・・千鶴のお父さん見たことあるの?」
「うん。たまたまなんだけど・・・その風格はゴルゴそのものだった・・・」
「いや・・・・わたしが聞いてたのはシティーハンターの方だったんだけど・・・・」
この時も私の背筋に悪寒が走ります。自分にとってはゴルゴでも、もっこりでもどちらでも構わないのですが・・・
「でも、自分は狙撃対象外だよな・・・・。」なんて自分に言い聞かせていました。
その後、・・・マコトをアキラの元に残して下宿へ戻って来ました。
私の道案内の元、アルトを義父さんが運転して母さんが乗ってきたレガシイを運転して2台連ねてとなっています。
なお、アキラの母親は旭川から明日の朝到着すると連絡がありましたので明日以降は安心なのですが・・・・。とりあえず今は妹にそばにいてもらいましょう。
そしてこの時、下宿に帰ってから自分の部屋のドアを開けた瞬間視界に入ったのは、昨日押し入れの奥から引っ張り出して壁にかけていたマコトのセーラー服です。
この時一緒に来ていた母さんは母屋に寄っていて下宿のおばさんと話をしているようでしたが、不意に私の背後に気配を感じました。
「う〜ん・・・・。なかなかいい趣味してるね。もしかして・・・これってマコトくんのかい?」
私が振り返ったところに立っていたのは義父さんでした。
「うん。旭川に転校する前・・・・2年間しか着てないヤツ・・・・。」
「あれ?マコトくんって吹奏楽部だったんだね・・・スカートに楽器の跡がついてる・・・・・」
私もそれについては気づいていました。そこは何かの後に擦られたようになっていて、そこだけ窓から差し込む陽の明かりで光沢が出ていることに・・・。
「もしかして・・・・ユーフォかい?」
「えっ?義父さんってユーフォニューム・・・知ってんの?」
「知ってるも何も・・・・だって、ボクって大学でブラバンやってたんだもん。」
意外でした。この義父が吹奏楽をやっていたなんて
「もしかしてそのユーフォ・・・吹いてたの?」
「うん。でも・・・・人が居なかったからトロンボーンと掛け持ち。演奏会で、ユーフォ吹いたりボーン吹いたり忙しいこともしばしばで・・・・」
そこまで話をした時、廊下をドスドス走ってくる音が近づいて来ました。
「なに?アンタ・・・・病院でぶっ倒れたんだって?」
この時、部屋の入り口から半分身を乗り出すようにしていた義父に割り込むようにふたばも身を乗り出していて、その二人のカラダが密着しています。
しかも、義父さんがふたばを見ようとしたその鼻先5センチにふたばの胸の谷間がありました。
「うん・・・・ちょっと、まず紹介させて・・・・これ、僕の義父さん。」
私は、突然現れたふたばに初対面の義父を紹介しました。
「あっ・・・失礼しました。ここの下宿の娘でふたばと申します。まどかさんにはいつも・・・・え?・・・え?・・・キャッ・・・・・」
この時急に振り返った義父に驚いたふたばがバランスを失い、体勢を戻そうと義父にしがみつきました。でも・・・さすがに義父にその185センチの身体を支える体力はないようです。
ドスン・・・・メリメリ・・・・
古い下宿の廊下の板張りが抜けるような音がする中二人はまるで正常位のような体制で倒れ込んで、勢い余った義父さんの顔がふたばの胸に押し付けられるようになっていました。しかも、倒れる時ふたばの背中を押さえるようにした義父さんの右手が背中の後ろに挟まって身動きが取れません。
その時私はどうすることもできませんでしたが、その挟まっている右手を背中から引っ張り出すことだけは出来ました。
「コ・・・これは失礼・・・・。やっとこれで自己紹介ができます。僕がマドカくんの父親です。」
そこでやっとのこと上半身を起こした義父が自己紹介をしています。
「いやいや・・・これは事故です。お父さん気にしないでください・・・」
そんなやりとりの後二人が立ち上がりましたが・・・・その立ち上がった義父さんが私の耳元で囁きました。
「これだけでもコッチに来た甲斐があった・・・・」と。
この後綺麗に片付けられた部屋の中央にあるこたつはこの季節になってようやくその布団が撤去され、そのすっきりとしたテーブルに3人が座っています。そして、今の今まではしゃいでいたのどかが電池が切れたかのようにベッドで寝息をたたていました。
「ねえ・・・まーくん。これからのことなんだけど・・・・」
3人でのどかのその平和そうな寝顔を眺めている・・・・そんな静寂を破るように母さんがそう会話を切り出しました。
「ん?これ・・・から・・・っていうと?」
「これからまーくんはいづれどこかに就職すると思うの・・・・。母さんとしては公務員になって欲しいんだけど・・・・。でも、どこに就職したとしても、常にまーくんのそばについていてくれる人が必要なのね。」
「えっ?常に?・・・・ついてくれる人?」
「うん・・・・。さっき、病院の先生に言われたんだけど、やっぱり常に一緒にいてくれる人が居た方が安心だって。どうも精神的に不安定になると昨日のようになるかも・・・・って。」
「それで・・・・・?」
「だから・・・・アンタ、あのマコトさんと結婚しなさい。ハナシ聞いたら、北海道からアンタに逢うためにわざわざ戻って来たっていうじゃない?母さんもう決めたから・・・・先方とはナシ付けるから・・・・。アンタ、それで良いよね?」
この時私は、この突拍子もない私の選択肢を全く考慮しない母さんの提案にどう答えて良いのか分かりません。すると斜向かいの義父さんが助け舟を出すようなそぶりで口を開きました。
「うん。僕もそれが良いと思う。ましてや土木方面に就職なんてしちゃうと彼女どころじゃなくなるかもしれないし・・・・」
この時私の斜向かいで話を聞いていた義父もそんな不安なことを言いながら頷いています。コレって助け船じゃないような・・・でも、背中を押してくれているような感じでもあります。
「えっ?義父さんまで・・・・でも、急にそんなハナシ付けるって?自分的に近々北海道に言って挨拶する予定してたから・・・・・それはそれからでも・・・そんな余計な・・・・」
「じゃさ・・・明日、せっかくマコトさんのお母さんがコッチ来るから、その時挨拶するって事で・・・・」
「母さん。ちょっと・・・・気が早いっていうか・・・・。」
その時母さんが何かを思い出したように壁に掛けてあったカレンダーを見上げました。
「コウちゃん・・・ちょっとそのカレンダー見て・・・」
「うん。」
そう言いながら義父さんは立ち上がって壁に掛けたあったカレンダーと睨めっこを始めました。
「う〜ん・・・。明日は・・・友引だね。」
父さんがそう答えた瞬間でした。
「うん・・・・日も良いし、明日で決定!。」
その時の母さんは全て解決したかのような爽やかな表情をしていました。
「ん?・・・コウ・・ちゃん?」
私は初めて聞くその名前に頭を傾げました。
「あっ・・・ごめんね。アンタに義父さんの名前教えていなかった・・・・。名前は孝(たかし)。親孝行の孝の字でたかし。だからコウちゃん。」
「あっ・・・・それって、円(まどか)って書いてエンちゃんって呼ばれるのと一緒・・・・。でも、名前はいいんだけど・・・」
「アンタ・・・名前はいいんだけど・・・なんて言ってるとバチ当たるよ。」
「でもさ・・・・さっきのハナシ、そんな一方的に決めちゃっていいの・・・・・?。マコちゃんのお母さんの都合ってものもあるでしょ?これって縁結び的なハナシなんだから・・・・それこそバチ当たりな・・・」
でも・・・もうこうなってしまうと母さんの勢いは止まりません。
「アンタ・・・そうは言うけど、よく考えてみて?早かれ遅かれそうなるんだとすれば・・・・早い方がいいって。善は急げって言うでしょ?それに・・・・マコトさんってあんなに可愛いんだから、誰かに取られちゃう前にモノにしろって。アンタ・・・オトコでしょ?」
もう、母さんのマシンガンは止まりません。
「ちょっと・・・モノにしろって、それ母親のセリフじゃないような・・・・」
「でも考えてみて?マコトさんって仕事でいろんな男の人に見られたり会話するんだよ・・・・絶対見染めるヤツが現れるって・・・・早いうちにツバ付けとかないと・・・・」
「母さんちょっと・・・・そりゃそうなんだけど・・・マコちゃんってモノじゃないんだから・・・・」
いつもこうです。母さんのこんな強引なやり方・・・・。でも悔しいことに、今までこの母さんのやり方で間違ったことがありません。決断が早いって言うか・・・・こんな調子で景気が怪しくなる前に自分の会社も畳んでしまっていました。
「それでさ・・・・まーくん。アンタ、今でもバイトしてるの?」
すると今度は今までと違った低いトーンで母さんが私にそう尋ねました。
「なんで知ってんの?」
「アンタのバイト先って経理関係がしっかりしてて、税務申告もきちんとしてるの。今年の春に所得証明書取ったら、アンタの所得が全部出てきてさ。」
「えっ?お見通しってこと?」
「うん。・・・・・学校から送られてくる成績表からすると両立してるようだからいいけど・・・・。」
「だって・・・こっち来る時、やれること全部やろうって決めたから・・・学校サボったりしないし・・・学費もったいないし・・・」
自分で言うのも何ですが、元々真面目だった私は必須でない科目も可能な限り受講していました。それは土曜日にも及んでいます。・・・・・でも、ドイツ語と教育課程の教育心理がちょっと苦手なところですが・・・・
ちなみに同じく大学に通う織田は最低限の講義しか受けていません。そのうえ面倒くさい教職課程なんて興味すら示していませんでした。本来、大学生というモノはそうやって効率よく単位を取得して卒業すれば良いとは知っていました。
でも・・・私はそれが出来なかったのです。要は要領が悪いとも言えますが、教員になろうと決めている訳でもないのに土曜日まで講義を受けに大学へ行っています。
まっ・・・これが無駄かどうかは今後の人生の中で考えていこうなどと思いつつ、時間を割いてやっていたガソリンスタンドのアルバイトでした。
そんなことはどうでも良い母さんは興味本位丸出しで私を問い質します。
「で・・・それでいくら貯めたの?結構もらってるみたいなんだけど・・・・」
「それは・・・・ちょっとは貯めているけど・・・・」
そこまで答えると、母さんは思っても見ない提案をして来ました。
「それじゃさ、これからマコトさん誘ってファッションリングで良いから指輪買っておいで。」
「ファッションリングって・・・もしかして指輪ってヤツ?」
「それ以外何があるの?ボルトに噛ませるワッシャーじゃないの!。もちろん薬指にハメるヤツだよ!。」
「そ・・・・それって、こ・・・・婚約・・・・?」
「うん。だから・・・それ以外何があるっていうの?」
「ちょっと・・・早くない?しかもこんな急に・・・・」
「早いも何も・・・・さっき言ったでしょ?善は急げって。正式なヤツは後でも良いとして・・・・とりあえず優良物件抑えておきなさい。」
「優良物件って・・・・・不動産でもあるまいし・・・・」
私がため息混じりにそう呟いた時、今ほど急にマコトとの結婚を言い出したばかりの母さんがコレまたとんでもないことを言い出しました。
「でもさ・・・・結局結婚ってアンタが就職した後の話よね・・・・。マコトさんも最初の1年間は寮にいなくちゃならないっていうし・・・学生のうちに一緒にさせるわけにもいかないし・・・・。」
「そんなの当たり前じゃん・・・・。今、マコちゃんが仕事辞めて一緒になっても・・・その生活ってどうすんの?それに僕って今教育実習の真っ最中だよ。」
「あっ・・・・教育実習で思い出した!麻美子が結婚するっていう小林くんのお姉さんがその高校で先生やってるんでしょ?」
「うん。そうだけど?それで・・・?」
この時私の脳裏に悪い何かが過ります。
「母さんさ・・・さっき心療内科の先生に、とりあえずこの後1ヶ月は特に経過観察が必要だから誰かに見ていて欲しいって言われたの。」
「誰かって?この下宿でも誰かしらいるからそれでも良いんじゃ・・・・」
「それじゃダメなの。夜とか一人になった時何かの拍子に発作的にそうなっちゃうかの知れないってこと。アンタ、前に入院した時芽衣ちゃんのアパートで3ヶ月も経過観察してもらったの忘れたの?」
そうです。私が高速道路でバイク転倒事故を起こした時、精神状態の経過観察のため当時看護婦をしていた麻衣子姉さんのアパートに3ヶ月も居候していました。その時、一緒に住んでいた麻美子姉さんとの3人での生活は今でもはっきりと覚えています。
「いっそのこと母さんがコッチ経過観察することも考えたけど・・・・その小林くんのお姉さんに診てて貰えば・・・・」
「ちょっと母さん・・・・それって一緒に住むってこと?」
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(2020年05月28日)
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