官能小説・エロ小説(約 20 分で読了)
他の男を見ていた女の子の部屋に、泊まることになった。(2/4ページ目)
投稿:2026-08-02 22:01:04
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本文(2/4ページ目)
シートを畳み、ハルは子供の手を握り、歩き出した。
そしてもう片方の手を俺の方へ向け、ハルは笑みを浮かべていた。
3人でハルのアパートへ向かう途中、子供が口を開いた。
子供「ノア真ん中がいいなぁー」
そう言って俺とハルの顔を見上げる。
俺「それはダメ」
ハル「なんでさ。ふふ」
俺はハルの手を強く握りしめた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
帰宅後、俺はリビングで足の疲れからうなだれていた。
ハルは子供の手を洗ったり、上着を脱がせたりと忙しそうだった。
子供「ノア疲れた」
ハル「・・・そうだね。疲れたね。もう少しでお母さん来るからね」
ハルがそう言うと、チャイムが鳴った。
子供はハッと笑顔になり、玄関に走る。
ハルは子供の荷物を持って、あとを追った。
「今日はありがと~!」
昼に聞いた声が玄関から聞こえた。
ハルはまたよそゆきの声で対応していた。
今日ずっと聞いていた子供みたいな話し声、まるで違う大人びた声。
「あきとまたね!」
子供は俺のところまで戻ってくると、手を振って玄関へ走っていった。
ハル「あー疲れた・・・」
玄関が閉まると、ハルは肩を丸くして戻ってきた。
ハル「もーやだ」
魂が抜けたように、バタンとベッドにそのままダイブした。
俺「はは・・・おつかれ・・・・・・」
ハル「・・・・・・」
俺「・・・なんか腹減ったな。買ってくるよ」
ハル「・・・食器棚」
俺「・・・了解」
俺は腰を上げ、食器棚を漁った。
綺麗に並べられた食器の奥から、カップラーメンを二つ取り出した。
ケトルに水を入れ、お湯を沸かした。
キッチンからチラっとベッドの方を見ると、ハルはスマホをいじっていた。
誰とやり取りしているのか。
そんなことを考えながら、その場でお湯が沸くのを待った。
パチっと音が鳴り、沸騰したお湯をカップラーメンに注ぎ、割りばしを引き出しから取り出してテーブルへ置いた。
俺「ん」
二人分を向かい合わせに置き、俺はベッドの向かい側に座った。
ハル「ありがと」
ハルはスマホを枕元へ放り投げ、ベッドから降りると、わざわざ俺の横へきて座った。
俺「こっちなの?」
ハル「うん・・・だめ?」
ハルは黙ったままカップラーメンを自分の方に寄せ、割りばしをフタの上に置いた。
俺「・・・」
ハル「・・・」
窓の外には、まだ夕焼けが少し残っていた。
俺「明日休みで良かったな。足痛いし」
ハル「マジ疲れた。ほんと怠かった」
首を俺の方に少し傾け、脱力してため息をつくハル。
もう少しで俺の肩に頭が乗りそうで、乗らない。
俺「子供って元気だな。可愛いけどさ」
ハル「ぜんぜん可愛くない。わたし無理」
俺「楽しそうだったじゃん」
ハル「無理なのっ。嫌いだし、二度と子守りなんて嫌」
少し口をとがらせ、イライラを見せるハル。
その様子は、本当にストレスだったようだった。
俺「そっか・・・子供、そんなに苦手だったんだ」
ハル「・・・・・・」
湯気に押されて俺のカップラーメンのフタだけが開く。
白い蒸気がゆらゆらと外に出る。
ハル「私、親とほとんど過ごしたことなくて・・・」
ハル「幸せそうな子供を見ると苦しくなる」
俺「もう話さなくていいよ」
少しだけ、声が震えていた気がする。
ハル「幸せそうな子供が・・・憎いの・・・」
ハル「そんな私自身が恐くて・・・」
横顔を、涙が伝った。
きっと、相当な何かがあったんだと思う。
でも俺は、それ以上ハルに話させたくなかった。
鼻をすすり、顔に手を当てる。
ハル「・・・・・・」
何かを言っているが、聞き取れなかった。
ハルは過去に、見た目以上に傷ついていたらしい。
そしてこの前も、深く傷ついていた。
俺「もういいから・・・ハル・・・さん・・・」
これまでのハルの言動が、少しずつ繋がっていった。
俺はハルと呼び捨てをしようとしたが、今の関係性にまだ疑問がぬぐえなかった。
背中をさすろうと伸ばした手も、止まってしまう。
俺はハルにとって何なのか。
ハル「・・・だから私、子供嫌い!ウザいの。キモいの!」
ハルは徐々に声を荒らげ、腫れた目で俺を見た。
ハル「キミだってもっと子供見てて欲しかった!私ばっかり!」
俺「ちょっと・・・落ち着けって・・・」
ハル「もっと代わってくれても良かったじゃん!むかつく!」
ハルは膝をついて腰を上げ、俺を見下すようにして続けた。
ハル「キミもむかつく!だってさ!だって!・・・・・・とにかく!」
少し言葉に詰まりながらも、俺の目を見ていた。
その目はどこか遠くではなく、確かに目の前に俺を見ていた。
不謹慎だけど、俺は嬉しくて目を離せなかった。
俺「ご、ごめんなハルさん・・・」
ハル「それもむかつくの!どうしてハルさんなの!?」
俺「え?」
ハル「ハルって呼んでよ・・・!呼べよ!」
俺「じゃ、じゃあ!ハ、ハルも明人!って言って・・・くれ・・・よ・・・」
思わず俺も声を張り上げた。
でも自分で言っていて恥ずかしくなり、語尾は徐々に消えてしまった。
ハル「・・・っ。言ってるもん!」
俺「い、いや!キミってたまに言ってる!」
ハル「うるさい!いいの!私は自分勝手でいいの!」
ハル「・・・・・・っ」
俺「なんて?」
お互いに疲れていたからなのか、徐々に俺もイライラとしてきた。
ハル「なんでもない!」
俺「・・・もう俺帰るよ」
ハル「だめ!今日は泊まっていってよ!」
俺「でももう、そんな気分じゃないだろ・・・」
立ち上がる俺の腕を掴むハル。
ハル「私、佐竹に本気だったの」
俺「・・・・・・」
俯いたままハルは続けた。
ハル「私が・・・撮っていいよって・・・・・・明人を傷つけたの・・・」
俺「そんなこと、言わなくていいって・・・」
俺もハルも、思い出したくもない過去のはずだった。
ハルは床を何度も踏みつけた。
それでも、俺の腕から手を放さなかった。
ハル「私・・・お風呂入ってくる。待ってて」
俺はあっけにとられ、立ったままでいた。
暫くすると、シャワーの音が聞こえてきた。
さっきのハルは見たことのない姿だった。
ハルの口から佐竹の名前が出たこと。
その名前だけが、今も胸の奥を鈍く殴っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつの間にか日は沈み、紫色だった空は、もうほとんど黒くなっていた。
遠くでカラスの声が一度だけした。
ハル「・・・・・・ただいま」
風呂から上がったハルはアヒルの変な柄のパジャマを着て俺の後ろに立っていた。
さっきまでの怒りは消えていた。
濡れた髪のまま、困ったように立っている。
ハル「・・・・・・」
俺はテーブルへ戻り、座り直した。
ハルも向かい側に座る。
ハルは自分の分だけ水を注いだ。
まだ少し、怒っているらしい。
ハル「・・・んっ」
水を飲み込み、コップを置く。
視線が重なった。
ハルは逸らさない。俺も逸らせなかった。
ハル「・・・・・・帰る?」
俺「・・・・・・いや」
濡れた髪が今日一番に大人っぽく見えた。
どうしてあんな事を言ったのか。
俺は聞きたかったが、聞くのが恐かった。
あの日から、俺は何も変わってない。
ハル「帰りたい?」
俺「いや、そんなことは・・・」
正直、本当に帰ろうかとも思っていた。
ハル「・・・もう会いたくない?」
ハル「・・・いいよ。好きにして」
ハルはテレビをつけ、膝を抱えた。
俺も隣に座り、画面を眺めていた。
内容は、何ひとつ頭に入らない。
カップラーメンには手をつけないまま、番組だけが変わっていた。
やがてハルは立ち上がり、洗面台で歯を磨き始めた。
動けない俺はずっとハルのことを考えていた。
目の前にいるのに、遠くの人のことを想っている感覚だった。
ハル「はい」
俺の肩をポンと軽く叩き、振り返るとハルは新品の歯ブラシを手渡してきた。
俺「ピ、ピンク?」
ハル「黄色がいい?」
俺「う、うん・・・」
再び洗面台に戻り、戸棚を開けて黄色の歯ブラシに交換してきた。
俺も立ち上がり、ハルの横に行って歯磨き粉を付けて歯を磨く。
無言で歯を磨く。
口をゆすぐタイミングが同時になり、頭をぶつけあうが、笑いはしなかった。
俺は軽く顔を洗い、タオルで顔を拭うと、ハルは既に電気を消してベッドに入っていた。
俺「ハルさ・・・ハル?」
ハル「・・・・・・」
無言で布団を持ち上げるハル。
俺「俺、まだ風呂入ってないんだけど・・・」
ハル「・・・気にしないから」
何も言わないハルに折れた俺は、ハルの横に腰を下ろして座った。
静まり返った部屋には、電子機器の低いノイズしか聞こえなかった。
ハルは向こうを向いたまま、動かない。
ハル「・・・うそだから」
俺「え?」
ハル「前は本気だったけど、もうあんなやつ嫌い」
俺「・・・分かってるよ」
俺「・・・・・・」
ハル「子供だって、本当は可愛いと思いたいし、ハルもいつか欲しい」
ハル「でも、幸せそうな子供を見る自分が怖いのは、ほんと」
俺「そっか・・・」
ハル「明人に、むかついてない・・・」
ハル「でも、ハル、って呼んでほしい」
ハル「キミって言ってごめんね、明人・・・」
俺「俺もごめんな、ハル」
俺「俺さ。ずっと不安だったんだ」
俺「俺なんかじゃ・・・ダメなのかなって・・・」
さっきのハルもきっと、あれが精一杯の告白だったんだと思う。
自分の本当の気持ちを伝えるのは、予想以上に難しかった。
佐竹に嫉妬していたこと。
俺では足りないと思っていたこと。
それでも、今も好きなこと。
言えるところまで、話した。
ハル「ごめん・・・・・・ごめんね明人・・・」
「私も好き」
その言葉を期待していた。
でも、ハルはまだ言わなかった。
ハル「今日は疲れたよね。一緒に寝よ」
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(2020年05月28日)
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