体験談(約 26 分で読了)
初桜と共に散る、僕の知らない君【後編】(3/5ページ目)
投稿:2025-06-21 02:38:55
更新:2025-07-02 01:41:04
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本文(3/5ページ目)
まだ
痛いほど勃起していた。
どうしようもなく、最低だと思った。
彼女の記憶に、あんなにも大事にしていたはずの時間に、身体だけがカンチガイを起こす。
頭と心が泣いているのに、身体はまるで、画面の向こうの彼女を欲しがっていた。
R子のハメ撮りと同じだと笑うように、腹の底から熱を訴えてくる。
どこまでが現実なのかも、わからなくなっていた。
……終わった。
心臓が止まったような気がした。
何も音が聞こえなくなって、映像も、スマホも、何もかもが遠ざかっていった。
口の奥に、突き上げるような熱。
それは胃の底から、焼けついたまま逆流してくる。
「やばい」と思った時には、もう間に合わなかった。
トイレに駆け込む余裕なんて、残ってなかった。
顔を下に向けた瞬間、口から溢れた。
空っぽのはずの胃から、それでも吐き出された胃液だけが
こぽ
こぽ
と、足元のラグに音を立ててこぼれていく。
足元に広がる、薄黄色の水溜まり。
まだ誰にも見せたことがない、買ったばかりの白くて柔らかいラグマットが汚れていく。
手も足も動かせなかった。
ただ、じっとその染みが広がっていくのを、見ていることしかできなかった。
顔を上げると、スマホの画面は消えていた。
反射的にホームボタンを押す。
つかない。
何度か連打してみる。
でも、黒い画面に変化はなかった。
小さく、バッテリーが赤くなったアイコンが、一瞬だけ浮かび上がる。
それが電池切れの合図だと気づいた時には、もうどうでもよくなっていた。
視線を落とすと、足元のラグにはまだ吐瀉物の染みが残っていた。
机の上に置いてあったティッシュを何枚も引き抜いて、汚れの上に雑に重ねる。
拭いたわけじゃない。
でも、今の自分には、これで「片付けたふりをする」ことしかできなかった。
そのまま、ベッドに身体を投げ出す。
感情のやり場がなくて、突き上げてくる怒りと無力感をどうにもできなくて、拳を握った。
そして
ぐしゃ
と布団を叩いた。
誰を責めればいいのかもわからないまま。
ただ、あまりにも悔しくて、惨めで、どうしようもなかった。
ただひたすら、声も出ないまま泣いていた。
気づけば涙は枯れ、呼吸だけがかすかに残っていた。
どれくらい時間が経ったのか、わからなかった。
ただ、目を開けたまま、天井を見ていた。
泣き疲れたのか、目の奥が熱と痛みを訴えていた。
胸の奥が空っぽで、息をするのも億劫だった。
拳を握る気力も、もうなかった。
スマホの黒い画面は、もう僕しか写さなかった。
長い時間、動けずにいた。
心はまだ、あの痛みの中に沈んだままだった。
もう、散々泣いただろう。
何度も後悔したはずだ。
だけど、ここで止まっていても何も変わらない。
彼女を連れて帰る。
それだけが、俺に残された唯一の道だ。
今の自分にできることはそれだけだと、自分に言い聞かせる。
もう十分に、痛みも絶望も吐き出したんだ。
椅子に座り、充電器を挿す。
もう一度、あの現実を目にする覚悟を決める。
充電中、どうにかして場所を突き止められないかと考えていた。
ラブホの外観でも、ベッドの内装でも、壁紙でも、何か、何でもいい。
あの動画に映っていた背景と一致する何かが、普段の投稿の中に残っていないか。
そう思って画面が点いた瞬間、真っ先にK男のアカウントを開いた。
そして、投稿をさかのぼっていった。
でも、ストーリーの更新はなかった。
それだけが、僕にとっての、つかの間の希望だった。
……もう終わったのか?
そう思いたかった。
そうであってほしかった。
スクロールする指に力が入る。
車や靴や、夜景やら。
軽薄さが前面に出た写真達。
それが、別世界の人間のようで。
でも、あまりに近い存在で。
そして、見つけた。
投稿一覧に表示された、ちょうど一年前の投稿。
ホテルの高層階からの夜景。
綺麗な光の粒が、僕には下品にすら見えた。
淡い照明の暗い室内。
けれど、ぼんやりと映るヘッドボードの形。
一覧からタップして画像を開くと、右端に映る鏡の中に、男の肩と、寄り添う女の髪が、ほのかに見えた。
さらに奥には、ほとんど見切れるように、もう一人の男の姿と、二人分の女の足先。
何より、この空気に、見覚えがあった。
こいつらは、一年前からずっとこうだったんだ。
慣れきった手つきで、楽しげに。
女の子を選んで、誘って、取って、食って。
何も変わっちゃいなかった。
この一年間、今日まで、ずっと。
投稿にはタグが三つ。
「#夜は写真より静かだった」
「#たまにはいいホテル」
「#経験ゼロの匂いってあるよね」
ホテルの情報はない。
もう、やめたかった。
けれど、それでも、確かめたかった。
終わったのか。
まだ続いているのか。
見たくない。
でも、見ないままではいられなかった。
写真に映っている、もう一人の男。
そこから何か分かるかもしれない。
そう思った。
いいねを押した人一覧から、気になるアイコンをいくつか押して、公開されているストーリーを見る。
でも、どれも外ればかり。
焼き鳥、夜景、車内でピース。
軽薄な日常の切れ端が続くだけ。
ため息まじりに、次の「S男」という名前のアイコンをタップする。
あまり期待もせずに。
見下ろすような画角で取られた写真。
色白の男が、足をだらしなく放り出している。
その足の間に、体を入れてうつ伏せで寝る女性。
サークルの集合写真にもいた、E子が先輩と呼んでいた女性、A子。
金色の長めの髪を肩にかけている。
男の足の付け根の、膨れ上がった男物のパンツに、A子は頬を添えているように見えるが、大きなスタンプが貼られていて見えない。
写真の裏では、静かなインディーズバンドのJ-POPが流れている。
ただのヤリチンの自慢写真にしか見えないが、この写真は僕を惹きつけた。
淡い照明。
布団の柄。
少し高めのヘッドボード。
その全てに、見覚えがあった。
写真の15秒が終わり、次に再生されたのは動画だった。
あまりにも薄暗く、見ようとしなければ、何も見えない。
でも、見ようとすれば、全てが見えてくる。
S男は仰向けになって寝転び、A子は画面奥で横になって、S男に抱きついている。
二人の頭の部分にはスタンプ。
隠された奥では、おそらく、S男とA子がキスをしていた。
二人の首だけの動きだけで、十分に熱が伝わってくる。
けれど、視線を右にずらしたその瞬間、胸の奥が凍りついた。
そこにいたのは、R子だった。
眼鏡のフレームは見えないが、見慣れた黒髪と薄い体。
愛おしそうにS男の太ももに手を添え、首から先をスタンプで隠しながらも、上下に動かしているのがわかる。
聞きなれた恋愛ソングの裏で、隠しきれていない艶めかしい音が響いている。
王のように、2人からの奉仕を受けているS男。
甘く求めるA子の、吐息交じりの水音。
懸命に舌を絡めて奉仕しているであろう、R子の上半身の動きと激しい吸引の音。
画面には、余計な文字も装飾もなかった。
大事な部分には、すべてスタンプが貼られている。
それでも、何をしているのかは伝わってくる。
A子はキスをしつつ、甘えるように胸をS男に押し付けている。
R子はS男の白い太ももも撫でつつ、スタンプで隠された奥で、奉仕を行っているのが伝わる。
僕はほとんど無意識のうちに、スマホの音量を上げていた。
A子とS男の唇が触れる音。
R子が喉の奥を鳴らすような、ぬめった水音。
甘い甘い、本来不可侵であるはずの瞬間。
その音を、もっとはっきり聞きたくて。
そのときだった。
一瞬、聞き慣れた声が、混じったような気がした。
けれど、違った。
きっと違う。
聞いたことがない声、だったと思う。
小さく、かすれていて、確かめるには弱すぎた。
それでも、胸の奥がぎゅっと縮まる。
動画の空気も、照明も、布団の柄も、あの内装も、全部知っているものだった。
R子はいるのに、ここに彼女がいないはずがない、なんて。
そんな想像を、してしまった。
動画が終わった。
画面は暗く、音も消えた。
でも、胸のざわつきだけが残っていた。
……今の、あれは?
気のせいかもしれない。
そう思いたいのに、心がそれを許さなかった。
確認したい。
でも、見たくない。
それでも、指は勝手に動いていた。
音量を上げて、もう一度、S男のアイコンを押していた。
今度は音に集中する。
何ひとつ聞き逃さないように。
目は画面を見ているのに、耳の奥の神経だけが尖っていく。
S男に媚びた、A子のメスの写真。
すぐにスキップする。
動画が再生される。
キス音。
吸いつくような水音。
A子とR子、それぞれの奉仕の音が交錯する。
思わず、音量をひとつ上げる。
息を潜めて、耳を澄ませる。
いや、違う。
これだけじゃない。
そのとき、かすかに聞こえた。
「……ちゃ…と、……は、…ゃんと…………ぜ…い……」
何を言っているのかはわからない。
でも、「何かをお願いしている声」だと、すぐにわかった。
甘えて、縋るような声音。
震えて、でも拒めないような響き。
その声に、覚えはなかった。
いや、そうじゃない。
聞きなれたはずの声が、知らない音になっていた。
僕は、息を殺す。
耳を澄ませる。
パチュンッ……パチュンッ……
「……ぁ…………ぃ……ょ……」
音が濡れていた。
皮膚がぶつかる音。
それも、浅くやわらかいのではなく、深く、鈍く、響く音。
誰かが誰かを、奥まで何度も打ちつけている、確かな証拠。
布団が軋む音と、水音が絡まり合って、一定のリズムを刻んでいる。
「……っ……ぃ、……っぁ……っ」
何も映らない画面の奥に、「あの子」がいる。
そう思うだけで呼吸が止まった。
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4: ハイヅルさん 作者 [通報] [削除]
名無しさん
僕は妻の浮気を目撃して寝取られ願望に取り憑かれました。妻は中学時代に輪姦されて、犯され願望に目覚めてしまったそうです。今は夫婦で寝取らせプレイをしながら迷走中です。やはり妻に対して屈折した感情を持って…
ありがとうございます。
とても個人的な体験を共有していただき、心から感謝します。
奥様への感情や、夫婦という関係の中での葛藤は、きっと多くの方がどこかで共感できる部分だと思います。
私自身も、いくつかの出逢いを経て、この出来事は物語として静かに受け止められるようになっていますが、温かいお言葉が心に沁みました。
本当にありがとうございます。どうかご自身のペースで、無理なくお過ごしください。1
返信
2025-06-25 08:01:04
-
3: 名無しさん#ESlWCZM [通報] [コメント禁止] [削除]僕は妻の浮気を目撃して寝取られ願望に取り憑かれました。妻は中学時代に輪姦されて、犯され願望に目覚めてしまったそうです。今は夫婦で寝取らせプレイをしながら迷走中です。やはり妻に対して屈折した感情を持ってます。でも、別れられないんです。この作品を見て胸が締め付けられました。作者様にいい出逢いがある事を切に願っております。失礼します。
1
返信
2025-06-23 23:08:51
-
2: ハイヅルさん 作者 [通報] [削除]
名無しさん
素晴らしかったです。(投稿者さんの心中をお察しすると投稿できませんので、あくまでも作品の1読者としての視点で投稿します)私も現実に巨根の遊び人に恋人を寝取られた事があります。それ以来、このジャンルが性…
読んでいただき、ありがとうございました。
程度の差はあれど、やはり寝取られを経験した方のほうが、このジャンルにハマりやすい傾向はあると思います。
心が壊れた経験が、性的な快楽の回路と奇妙に結びついてしまう。
そんな不自然さの中にこそ、強烈で抜け出せない魅力があるように感じます。とても共感します。
「ヨリを戻したあとで、何度目かの行為で治った」という言葉には、かかった時間の重みと、ある種の愛のかたちを感じました。
相手への快不快、傷つきと癒し。その全てが、より深い体験へと昇華されていくことを、心より願っております。1
返信
2025-06-23 21:09:50
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1: 名無しさん [通報] [コメント禁止] [削除]素晴らしかったです。(投稿者さんの心中をお察しすると投稿できませんので、あくまでも作品の1読者としての視点で投稿します)
私も現実に巨根の遊び人に恋人を寝取られた事があります。
それ以来、このジャンルが性癖となりました。(現実に繰り返したい願望はありません。現実は1度でお腹いっぱいです)
私の場合は、結局ヨリを戻しました。
「結婚してるわけじゃないので、正直そこまで大ごとではない」というのが、当時の私の建前でしたが、抑え込んだダメージは大きかったです。
EDになったのですが、ヨリを戻してから何度目か行為で治りました。
ヨリを戻した後の寝取られ後日談の世界で治す方法もあるわけです、、、。2
返信
2025-06-22 00:51:19
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(2020年05月28日)
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